エリーチェ

Trapani

  イタリアのつま先シチリアの一番先にトラパニという街がある.地中海につきだし,対岸がアフリカである.往時はたいへん重要な土地であったらしい.ガリバルディも先の大戦では連合軍が上陸してきた.いまは至って穏やかな観光地になっている.抜けるような空とあくまで澄んだ海はどこまでも碧い.
  そのトラパニの後背に小高い山がそびえる.500mぐらいのものだが切り立っていてずっと高くみえる.けわしい山の上は小さな街になっているが,かつてはノルマン要塞であり,後にキリスト教の修道院であった.天空の街,石畳,360°の眺望,洒落たホテルに美味しいレストラン,一式揃ったイタリア随一の観光名所といっていい.その名をエリーチェという.
 イタリア政府は,エリーチェの空いた修道院を改造して,一大国際会議場に変身させた.わたしも修道女が住んでいたという小さな部屋に入れられた.1時間もあればぐるりと巡れる小さな街だが,その中にいくつもの会議室,宿泊設備があり,レストランもたくさんあって,参加証を示せば無償で定食をおいしくいただけるところも多く,チャンスがあればまた行きたいというところである.眼下のトラパニにはケーブルカーで降りていける.