厚み計を作る

 熱伝導系測定装置は距離(厚さ,長さ)の測定が重要である.今までの熱伝導装置は,あらかじめ求めておいた厚さを使うのであるが,測定中に変化されると対処のしようがない.そこでアイフェイズでは当初から厚み計を組み込んで,溶融時や配向緩和による変形にも対応させようと計画していた.厚み計は,マクロメータのように機械的なもの,誘電率変化を使うもの,光てこ,差動トランスといくつもある中で,試作検討の結果,差動トランス方式を採用した.アームが降下するスタイルも,厚み変動に対応させたもので,差動トランスを組み込むこともできる.差動トランスは円筒状のコイルと磁界を遮る鉄芯からなる.ただし小ロットで作ってくれるところはどこにも無かった.「一万個なら可能ですが・・・」
 コイルは30ミクロンの細いウレタン線を20mm足らずのボビンに千回以上巻いて作るのだが,切れやすいので,手作りも容易ではない.太い線を使いたいが,ボディも太ってしまう.発案者の早川氏は,糸巻き機もつくってしまった.真のエンジニアは治具作りの名人でもある. また磁界の変化をよむので,磁気シールドも取る必要があることも認識させられた.磁気に限らず,あちこちで別の装置が起動されると,思った以上にノイズが乱舞し,電源線,空中を伝わって来て,精密機械を悩ませる.電源は切らないでおき,夜中に実験すれば驚くほど安定して測定できるのである.弊社の開発は,田園地帯で真夜中に行っているのは言うまでもない.