プライベートデータベースを作る

 データベースというと,公開を前提に完全を期そうとしがちだが,現実的には一つのグループで共有できればいい話.熱系の測定は標準物質があまり無いために絶対値の比較はむずかしく,DSCのラウンドロビングテストでも相当ばらつきが出る.そこで,装置を決めて大量のデータを統計的に集めて,しっかりとしたプライベートデータベース作成をおすすめしたい.もちろん,他と比較できる様なものをいくつか測っておくことも,のちのちに効いてくる.
 アイフェイズモバイルM3,M10とも少量試料で迅速な測定が可能である.サンプリング手間がいらないので,丸1日もあれば相当量のデータが収集できる.測定条件を一定にして同一人物が測定するのが一番紛れない.最低でも一サンプル10回,条件はオート(あまり専門でない場合),標準サンプルとして,PMMAフィルム,カプトンフィルム,ジルコニア板,石英板,インジウムフォイル,あたりが推奨できる.
 データベースと作ると,誤測定にも気づきやすいし,大きな解釈エラーにもならない.とにかく文献値を信用しないことだ.金属などでもかなり文献値のばらつき,試料のばらつきがあるので,一概に信用ならない.銅などは不純物で半分にもなることがある.ダイヤモンド,炭素系,SiCなどホットな材料は,眉唾ものが圧倒的に多いからお気をつけてください.
 アイフェイズ装置群は,文献データベースを調べるより,迅速に測定でき,プライベートデータベースを構築できる優れものです.