理科系と英語

 国際会議では,発表はともかく会食やコーヒーブレイクなどでも英語が必須である.理科系にはこの英語を苦手とする人間が多いような気がする.よって会話に尻込みすることも多くなる.みんな高い技術を持っているのに,ただのツールに過ぎない英語のために,正当な評価がえられないこともありそうだ.
 どうもこの遠因に受験英語があるようだ.中学や高校で,理数系事象に興味をもつと,物事の因果律,再現性,類似性が気になって,合理的に考える傾向になる.組立たラジオが鳴らないときは必ず原因があること,代替え部品もあることを知っている.
 文科系科目である国語,社会も受験レベルでは,一応論理的に考えることができるのでそこそこ興味を持てるが,英語はいけない.最初から,ただ覚えろといわれるだけで,出題は例外規定のようなものが多い.自分なりの論理的な再構築ができないから,どうしても興味を持てず,ほかの方に目が行ってしまうものだ.
 会話は所詮,必要に応じてうまくなるのだから,場数を踏むしかないのだろう.受験英語は忘れて,自己主張のために語彙を増やすことだ.国際会議で,質問したり,廊下で活発な議論ができる若者が多数現れると,年寄りはコーヒーをにこにこしながら飲んでいればいいのだが.