装置の取説をまずお読みください.主要な部分については以下で詳細に解説しております.最近の問い合わせに対応した Q&A も合わせてご覧ください.いずれも適宜更新されますのご留意ください.

アイフェイズ各装置のマニュアル

M3 type 1 高感度薄膜用熱拡散率測定装置 簡易マニュアル

M3 type 2 温度可変型熱拡散率測定装置 簡易マニュアル

M10 type 1 バルク用熱伝導率測定装置  簡易マニュアル

M3型 測定条件・周波数の決め方

 TWAでの適切な周波数は,一定の周波数以上(kd>>1)ならば熱拡散率値に影響いたしません.低周波数では,環境(リード線とか横方向への逃げなど),一番の問題は上下で接している材料(バッキングマテリアルといいます)です.測定試料に,金属が接しているか空気かで,熱の移動が違って来ることはご理解いただけるかと思います.試料種類と厚さ,およびバッキングによって適切な周波数範囲が決まるのです.M3のバッキングはヒーター・センサーの土台であるアルミナ板です.出荷時は高分子材料や無機ガラスを想定し, 位相が190度(約kd=3)と230度(約kd=4)になる2つの周波数をオートモードで求めることを原則にしています.マニュアル測定する場合もオートが指定する値に準じるの無難です.
 ただし金属の薄膜などでは,230度まで指定すると,ものすごい高周波数になることがあり,オートで発散してうまく行かないことがあります.その場合は160-200,180-220度などを限度として低めに変更します.この場合,測定試料と同じような熱拡散率既知の物質で同一条件で測定し,比較確認することをおすすめします.
 また試料の熱拡散緩和時間を概算で求めておく方法もあります. 
 τ=(厚さd)2/(熱拡散率α) となりますので,その逆数が目安となります.0.5mmのジルコニア板は,α=1.2mm2s-1ですから,4.8Hzとなります.目安として低周波数と高周波数はおよそ二倍程度が適切ですから,上を10Hzとしてマニュアル測定して,上記の位相範囲になるように周波数を微調整して追い込んでいきます.
 理論上は高周波数側はどこまでも使えますが,現実には指数関数的にシグナル低下しますのでノイズの影響が大きくなりますので,せいぜいkd=5 まで(約280°)が実用範囲です.下図の様な条件では試料の正しい値が得られません.これはベースライン取得用の条件です.

マニュアル測定条件

M3型ベースラインの決定法

マニュアルモードでブランク測定した例 ベースラインとすることができる
Integtimeは長い方が安定である.OKならBaselineUpdateを押します

 画面に現れる実線はベースラインです.位相遅れは,理論的には厚みがゼロであれば一定値になるはずですが,実際には,ヒータ−,センサー,絶縁膜,界面,リード線などの影響で周波数依存性が生じます.これを毎回取り直さないで済むように,ブランク測定したものを5次関数までの高次関数で近似して記憶しています.デフォルトでは幅広い試料に対応するように周波数帯を広く取っています.
 ベースラインはデータの精度に直結する重要なものです.毎回変動するわけではありませんが,経時変化等状況によっては変わることがあります.また電源投入直後は,装置が安定とはかぎりませんので,最低30分後,デフォルトのベースラインをご確認ください.チェックには,電圧,0.3V,2Hz(4Hzなどの場合もある)から81Hz,10div,5secのマニュアルで行います.若干でも異なるようでしたら,清掃するなどした後再度測定を行ってください.作り直しは以下の要領で行っててください.できれば測定に応じて周波数範囲を限定して近似関数を求めた方(自動 変更はコンフィグで)が精度は高まります.
 万能型汎用性ベースラインは,2Hz(4Hz)−400Hzで定義します.0.7V(0.5-0.7), 20div,20sec(図は10秒ですが)としてマニュアル測定します.div,secはもっと長くとも結構です.電圧は上げすぎると低周波側で温度が上がりすぎます.画面下のamp値が2万を超えたら小さめにしてください.
 一点でも直線から外れたものがある場合は取り直してください.特に最初の1-3点目が問題です.中止して再度スタートします.大丈夫ならばこれをデフォルトにセーブします.デフォルトはパソコン上ではなくコントロールボックス内のメモリーを書換えます.電源投入時には自動的にデフォルトが呼び出されます.
 特殊なベースラインは,名前をつけてパソコン内にセーブし,適宜呼び出して使うことができます.狭い範囲に特化して場合,たとえばガラス板をベースにして測定する場合などは,デフォルトを変更せずにいろいろな条件での記憶が可能です.標準から外れる高周波数,低周波数を使う場合などでも有効です.薄膜用の高周波ベースラインは,(81-1600Hz)または(49-900Hz)などをつくっておきます.もちろんデフォルトとして記憶することもできます.

 注意が必要なのは,厚物用低周波での測定です.いままでのベースラインでは図のように振り切りますので,config画面右下あるphaseに30-60°など全体を下方にさげる数値を入れてやり直します.この場合オートモードの二つの位相値もそれぞれ30-60°プラスします.たとえば190-230が250-290°となります.また低周波数ではシグナルが強くなるので,電圧は0.2Vにします.

 また,測定周波数帯が決まった実験では,任意の周波数帯でベースラインを決められます.測定サンプルをオートモードで測定して得た二つの周波数を用いて,ベースラインを作り直して,全く同じ条件でマニュアル測定すると,より正確な値となります.ただし,ベースライン取得とサンプルありでは電圧を変えます.このとき,測定点数は20程度としますが,2Hz以下の低周波帯では時間がかかりますので,8点としてかまいません.

二層または多層膜の差し引き法

 ベースラインは直列に重なった種々の層のうち,試料以外の部分です.周波数の平方根と位相遅れの関係を見るとd/√2α となっており,測定試料の定数になっていることがわかります.周波数の関数でない定数です.熱抵抗がd/λ であることと対比すると,温度抵抗ということができます.この温度抵抗は周波数依存性がありませんので,周波数の√で位相遅れをプロットすれば直線になるのです.熱抵抗が加成性があるのと同じように温度抵抗も加成性があります.よって全熱抵抗は,ヒーター,絶縁膜,接着材,界面(グリースなど),サンプル,界面,絶縁膜,センサー,の和になります.よってサンプル以外をベースラインと定義して,差し引いてよいということになります.この方法が正しいかどうかは,等方的な液体で,厚さを変えて測定することで確認しています.なおこの温度抵抗の二乗が,測定画面であらわれる拡散の時定数です.時定数は加成性がありませんが,√を取ればよいということになります.
 そうすると,さらにラップ二枚で挟んだ試料,離型紙のついた両面テープ,ガラス板とか金属箔上に展開した試料など,試料以外をベースラインに含めれば差し引けます.具体的には,イミドテープをガラス板に貼り付けて,別途ガラス板をベースラインとすれば,イミドテープの値が求まります.さらに,ガラス板とイミド部分だけを測定してベースラインとすれば,接着層の熱拡散率が求まります.このベースライン法へ材料評価にきわめて有効で,剥がさなくともよいこと,変形が押さえられるメリットもあって,多層膜そのものはもちろん,各層の熱拡散率を測定することができるのです.ただし,極端に抵抗の違うものの組み合わせは難しいです.シリコンウエハ上のナノミクロンオーダーの薄膜などですが,抵抗(時定数の平方根)が近いもの同士であれば計算で可能性を判断できます.この温度抵抗を二乗したものd2/α が,温度拡散の緩和時間となります.

データの取得とチェック法

 得られたデータの確からしさの判定は難しいものがあります.経験が必要なことは言うまでもありません.それ以前の問題として,メンテナンスがしっかりなされた装置で適切な条件での測定が必須です.以下のチェックを.

  1. ベースラインは広い周波数範囲で定義されています.多くの試料に適応しますが,上下の周波数のどちらかでも外れた場合はベースラインとりなおしです.ベースラインは,こまめにチェック.
  2. 適切な周波数条件は,上と下の周波数が2倍程度です.たとえば 2Hzから100Hzなどは広すぎです.これはベースラインを取得するための条件です.マニュアル測定では,オートが指定する二つの周波数前後を使います.
  3. プロット中で一点でも直線からずれがあったら採用しない.
  4. 適切な荷重をかける 特に堅い試料は荷重を100g以上とする.200gまで可能ですが,丁寧に印可します.接触問題です.サンプルがゆがんでいる場合は値は正確になりません.ばらつきます.
  5. 電圧を上げすぎていないか.アンプの値で10000を超えたら発熱の影響や振り切れの恐れがあります.測定画面でのアンダー,オーバーランプは交流振幅の上下が振り切れていることを示します.反対にアンプが100以下では弱すぎです.いずれもデータは出てきますが,参考程度にとどめてください.
  6. 同一箇所で同一測定を3回繰り返し,同じになるまで行います.
  7. 試料の平均を知るには,適当に測定箇所を変更し,10カ所以上行い,極端にふれたものは除外し,平均に加えないこと.
  8. かならず比較試料(コントロール試料を決めておく)の結果と比較検討する.汚れ等に気づきやすくなります.また,標準試料(ジルコニア)を測定しておく.
  9. 厚み計が調整されていない.厚みは影響が大きいです.マイクロメータなどの併用してください.
  10. データのばらつきは,厚み計を含め装置は問題無いとして,90%以上が接触問題です.汚れが第一,界面に空気が入る,試料が平行でない(片当たり),表面に突起がある,振動があった,空調の風があたっていた などです.

金属の測定法

 金属の測定はアイフェイズモバイルM3type1型を推奨します.ホイル状から3mm程度まで実績があります.3mmぐらいの少量の方が測定状有利です.他の方法では無理で,温度波法の独壇場の分野です.下図は純銅箔の測定例です.

純銅箔の測定例

 絶縁膜は必須です(参照).測定は通常と同様ですが,1mm前後の厚物は,そりによるブリッジ型の接触不良が生じます.切り出し時の「ばり」が邪魔をすることがあります.荷重をかけても変形しませんので.研磨して平滑度を上げます.薄物は,若干のそり等は荷重をかけて密着させることができますが,しわなどを取り除きます.通常は100g不安定な場合は200gまで印可して密着させます.グリース使用も有効です.
 絶縁膜を用いる関係で,厚み方向(測定方向)より面方向への拡散が優勢になります.このことは見かけ上,熱容量が増したことになりますので,観測される温度波の振幅がかなり減じます.センサーに到達するシグナルを増やすために刺激する電圧をあげます.通常測定では1Vですが,金属は3Vにすることが多くなります.これで温度波の振幅では9倍になります.
 試料のサイズを2ー3mm程度に切り出して測定すると安定することがあります.横逃げが減少するためです.薄い試料なら切り出して測定します.
 オート測定では測定できないことが多々あります.オートが難しい場合は,試料をはさんでマニュアル測定し,位相が180−220°になるような周波数を探します.何度か測定して決めます.およそですが,上の周波数は下の周波数,二倍になります.
 また上記の方法で周波数帯が決まったら,ベースラインを同じ範囲で取り直し,次いで試料を戻して本測定とします.試料交換のたびにベースラインを取り直すことになります.
 金属は熱拡散率が大きくプロットがベースラインに近くなります.本測定法はベースラインとの差を計算に用いるので,ちょっとした変動がデータに大きく影響します.10-3とか予想より大きく出た場合は,場所を変えるなどして何度でも測定をやり直します.
 金属薄膜の熱拡散率測定は難しい測定になります.表面の酸化,よごれ,加工にともなうひずみ,不純物,そりなどで,文献値と異なることがほとんどです.電子基板用の銅箔などは文献値のような熱拡散率・熱伝導率にはなりません.判定が難しいのですが,純銀,純銅,すずなどをレファレンスにしてデータの妥当性を確認します.コツをつかんでください.

液体の熱伝導率・熱拡散率測定法

アイフェイズシステムは,いずれの微弱な刺激を与える方法です.したがって温度差によって生じる輻射や対流が極限的に押さえられている方法です.これは液体や気体の測定に有効です.

液体の測定には以下の二つの法があります.
(1)モバイルM3を用いる方法  ホチキス状のサンプル保持部分に100-200ミクロン程度の液体を挿入します.アームストッパー付を使うか,スペーサーなどで一定距離を保ちます.厚み計が連動しますので,厚みを少し変えて,薄い方をベースラインとし測定記録し,そこを厚みゼロとして,厚くして(水系は表面張力で上昇します)測定すれば,直接熱拡散率が算定されます.厚さをいくつか変えて,直線関係から求めると,より正確になります.

底面にラップを貼った容器

(2)モバイルM10を用いる方法(推奨)  写真のようなカップ型容器を作り,底面の薄い高分子膜=市販の食品用ラップで十分ですので,ピンと貼ります.その膜をM10type1センサーの上部におき丁寧にセンサーとグリースを用いて密着させます.試料は,厚さ数ミリあれば十分です.必ずふたをします.あとは基準試料二種(毎回測定しておきます)で減衰率を測定して,熱伝導率へ換算するのは発泡材と同様です.膜付で基準物質を測定するので,界面抵抗は差し引かれます.水系はもちろん,有機溶剤,塗料,インク,食品,粉体などへ適用できます.カップ容器を多数用意し,膜を同一にすれば試料交換だけて,多数の測定ができます.また接着材の硬化過程なども得られます.一回の測定時間は,めやすとして約30秒です.

気体の測定

 M10 type1では 気体の測定ができます.測定したい気体を満たした容器内にプローブ部を置き測定するだけです.向きは問題となりませんが下向きが対流ということでベター.空気の場合はキャップを乗せるだけで簡単に測定できますが.風よけは必須です.さらに流量の影響を知る方法としても使えます.流量が増すと見かけ熱伝導率が増して観測されます.
 延長コードを用いて,グローブボックス,デシケータなどを使うことも可能です.熱伝導率への換算はやはり値既知の二つの標準試料が必要です.単なる評価法としてなら,実測される減衰率の逆数が熱浸透率ですから,空気を1として,相対的な熱浸透率として断熱性能などを評価することができます.
気体は温度,湿度の影響が液体や固体より大きくなります.ご注意のほど.

厚み計について

コンフィグ画面左上 厚み計のパラメータ

M3の厚み計は差動トランス方式です.アーム中央部に取り付けた鉄芯(クロムメッキのかかった先端部)の侵入長さで コイルからの出力電圧が変化することを利用しています.コイルの中心に鉄芯が収まると出力がゼロになるので,少しずらせて厚みゼロでの出力すこしある状態にセットしてあります.図の緑の部分の数値がトランスの出力電圧です.サンプルがある状態よりゼロ点の方が小さい数字になるように鉄心の位置を調整してあります.
較正は,configのThicknessCal. で値既知の基準試料1点用意して,画面指示に従って行います.短距離の変化では,厚みと出力の関係がほぼ直線関係にありますので,ブランク状態をゼロと定義し,標準物質たとえば500μmゲージでの出力との間で,二点を直線近似して厚みに換算します.つまり0点(オフセット分,図の1874.2)と厚みに比例する係数(図の0.09187)としてROMに記録させます.装置定数となります.なお lin2 は使用しておりません.
  厚み計の較正は随時,何度でも行って結構です.ただし,測定開始直後,室温などでドリフトが起こります.十分に安定した通電後1時間は置き,測定もゆっくり行った方が安定します.
 0点は毎測定ごとに行います.装置のコンディションで若干ドリフトがおこります.絶縁膜などのベース材料の設定があっても,測定試料以外を厚みゼロとして,リセットボタンを押します. サンプルがプラスチックの場合はクリーブ現象が起こしますので,荷重を印可後 10秒程度は待つ方が安定です.
 差動トランスの出力は厳密に直線ではありません.特に厚い方では二次関数的になります.より正確に較正したい場合は,標準試料を複数用います.すなわち,測定対象に近いゲージで,たとえば0.1mで較正し,次いで,0.5mmの厚み測定を行います. この値が0.5mmにならない場合,config 画面を開き,左上の3番目Thick.lin係数を少し変えてみます.これで再測定して0.5mmになるように調整します.なお1mm以上の試料の場合も同様にしますが,マイクロメータなどで測定して入力する方が確実です.  あまり広い範囲での較正係数は好ましくありません.一方薄い試料の場合は,厚み誤差が熱拡散率に直結するのでミツトヨのシックネスゲージなどの利用をご検討ください.

保護膜の付け方ー電気導体の測定には必須

 保護膜は電極寿命の観点から重要です.また電気的導体の測定には必須です.弊社では出荷時・オーバーホール時には新しい保護膜へ変更しております.現在は4.5ミクロンのPETフィルムを用いて,紫外線硬化樹脂で貼り付けております.
 堅いフィラー入りサンプルや,ピンセットで破れ,めくりあがることがあります.センサー部分が無事で接触が確保できれば,周囲の破れは問題ありません.多くは,めくれて接触不良をおこしています.拡大鏡で確認してください.
 貼り替えはご自身でもできます,膜は薄い方が感度低下しませんが,市販のラップは10ミクロン前後で,全く問題なく使用できます.また出荷時の保護膜の上に,重ねて貼ることもできます.界面の影響はもちろんありますが,気になるような大きな変化は生じません. 貼り方は,
(1)ごくごく薄くグリースを塗って貼り付ける.厚いと測定中に厚みが変化します.毎回使い捨てる時は便利な方法でサンプル側に貼るのも有効です.交換が容易なので,接着剤,塗料,粉体,両面テープ等の熱拡散率測定などでお試しください.
   a. ついているフィルムを丁寧に剥がして貼り込んで測定する場合 感度はあがります.
   b.弊社出荷時の状態にさらに重ねて上下にラップを貼って測定する場合.ベースラインはかなりさがります.
 いずれの場合も,固着ではなく,センサー,ヒータ部に密着していればいいので,周辺で仮止め(グリースでも十分ですし,リングに巻き込んでもいいです)して使います.必ず保護膜をつけた状態でベースラインを取り直し,ディフォルトとは別に記録しておき,適宜呼び出して使います.当然厚みのゼロを取り直します.
(2)紫外線硬化樹脂で固着する 百円ショップで売っている硬化樹脂で十分です.ほんのわずか中心部にのせ薄膜をはって,綿棒で樹脂を周辺に追い出して,できるだけ薄くしますが,途中にマウンドができないようにすることが重要.硬化した樹脂はエタンールで拭き取れます.金属フォイルの測定は接触界面の安定したこの方法を採用します.
 いずれの場合も,センサー部に気泡,ゴミが入らないこと,全面で平坦であること,周辺部が盛り上がらないことです.ゴミはほんのわずかでも影響します.最終的に基準物質を測定して確認します.またベースラインと厚みのゼロ点は必ず取り直す必要があります.
 保護膜は薄いポリマーフィルムに限定されません.二枚のガラス板でも,厚めのテープでも構いません.ただし,厚くなると当然感度は低くなりますので,ケースバイケースということになります.      まとめ

故障かなと思ったら・メンテナンス

正常の確認は正しいデータを得るために必須です
試料の無い状態で,マニュアルモードとし,2Hz,81Hz,10div,5(または10)secとして測定.実線で表示されるベースラインとの一致を確認します.測定開始時はかならず,また中途でも行ってください.

  1. データが以前とずれている場合 まず保護膜の状態を検討してください.試料が残っていませんか,特に上部電極に張り付いていることがあります.
  2. データがばらばら.ampの値が50以下の場合はセンサー破損です. またはヒータの不良のこともあります 弊社へご返送となります
  3. ベースラインがなめらかで平行な曲線の場合 config位相に数字が入っていませんか
  4. 若干(玉半分程度でも)ずれているのは汚れです まず指で拭ってみましょう.脂は却って接触がよくなります.
  5. センサー面と上部ヒーター面についた埃,粉体,試料残渣などは丁寧に除きます.めがね拭きなどでソフトに拭いてください.ピンセット,綿棒は堅いので保護膜を傷つける可能性があります.静電気に注意 綿ぼこりは接触を悪くします
  6. より強固なよごれは,エンタノール等を布に若干含ませて拭きとります.
  7. 上下ともリングを回して取り外し可能です.向きがありますので,必ずマークを確認またはマークしておいてください.戻すときはピンを差し込み,リングをねじ込みます.まっすぐに刺さるように丁寧に,また締めすぎないように.膜がよごれていることがあります.取り替えます.
  8. ヒーターの抵抗は 100Ω,センサーは2kΩ前後です.大きく異なった場合はトラブルです.
  9. 保護膜は,出荷時は4ミクロンのPETフィルムを紫外線硬化樹脂で固着しています.交換する場合は,硬化樹脂はエタノールなど使ってとり除きます.市販のラップをグリースで貼る方法もあります.空気を入れない,入れすぎないこと,ベースラインと厚み計の再調整は必要です.

○ 厚み計は,いつでも較正可能です.どうしても1%程度の変動がありますのでご留意ください.標準では500ミクロンのジルコニア板と使用し,これは熱拡散率のチェック用にも使います.できれば測定サンプルの厚みに近いものをご用意ください.厚みがわかっていれば,どんなものでも構いません.

○ 最終確認には,トップの条件でベースラインを再確認の上,ジルコニア等標準物質で熱拡散率測定を行います.